3/14 今日はホワイトデーか。
2026/05/28
3/14 今日はホワイトデーか。
予約表にはコース料理の予約とパフェの予約がちらほら。
12:00のお客様をお迎えして、
デザートを出し始めた時
お店の出入り口に小柄な男性が立っている
あれ?? 市川紳士だ!
席に案内しながら話しかける。
「この時間帯に来るの、珍しいですね。」
いつも紳士は衣類のように夜を纏っているから、
昼間の太陽に照らされている姿が新鮮だ。
「うん、全然タイミング合わなかったから、休みの日に来たの。
お姉さんの料理が食べたくてね。」
なんてかわいい人なんだろう!!!
「ありがとうございます。嬉し過ぎますよ。」
紳士はお料理を待ちながら、
今日も思い出話しを聞かせてくれる。
銀座のとあるレストランで、
お店のマダムに心温まる声を掛けてもらった話しや、
あるレストランの入り口が螺旋階段になっていて、
高級感のある扉を開く・・
その入り口からレストランの演出が始まっていて感心した話、
食事の方法がわからない若者がグランメゾンに入って来た時に、
お客様が恥ずかしい思いをしないよう、
粋に作法を教えてくれる素敵なサービス係達の話しなど・・。
なんとも夢見心地に
ある時は目元と声を潤ませながら
紳士独特のリズムで聴かせてくれるそのストーリーは、
有名だとか無名だとかは関係なく、
彼が素晴らしいと感じたお店やお料理と紡いで来た人生、
そのものなんだと思う。
紳士にとって食事とは、どんなに大切な時間だったんだろう・・。
紳士は注文の仕方でレストラン慣れしている事がわかる。
温かなお料理をテーブルに並べると、
上品に食事を進めながら、ガス入りの水を注文する。
デザートを出す頃、
気がつけば紳士は
隣のテーブルの女性と仲良く話すようになっていた。
デザートと合わせるお茶を注文して、
全て食べ終えてから、
もう一度食後のお茶を注文する。
ティーポットのお茶が全て
大倉陶芸の紫と金のソーサーに注がれる頃、
紳士は弟の話をしていた。
彼の弟が隣駅で飲食店を営んでいる事は聞いていたけど、
なんと、然居合わせた隣の女性がそのお店のお客さんであり、
経営者と知り合いだったのだ。
紳士の弟さんのお店は、
市川では美味しくて有名な人気店だそうだ。
「弟は才能があるね。俺はなんにも無いけど。」
紳士はよくこう言うけど、
彼は着飾らなくても
感性も豊かで、充分素敵な人だと思う。
才能とか、表現は人それぞれだから、
日常的に
ー 何を選ぶかー
が自己表現になっていたりする。
紳士がお会計の合図をしたので、
席までお会計を持って行くと、お札が数枚多い。
「多い分お返ししますね」
「いやあ、前にお金が足りなかった日があったでしょ。」
確かにそんな日もあった。
紳士は基本的に持っているお金を、
お札も小銭も全て食事に使ってしまう。
しかしその時はお金が200円ほど足りなくて、
後日すぐにお店に来てくれたのだ。
「ありましたけど、その分は前回お返し頂きましたよ。」
「うん、でもさ、今日ちゃんとお金用意してきたから受け取ってよ。」
「・・・・。じゃあ、次回お金が足りなかった時用に、
お店に保管しておきますね」
紳士が笑う
「いいようつ。受け取ったらいいのに。ありがとう。
値段安すぎるから、しっかりしてよね。」
私が笑う。
「またお待ちしてます!」
お店の扉を開けてお帰りになる紳士を見送ると、
すっかり仲良しになった隣のテーブルの女性も
見送りに来てくれた。
夕方の街に紳士と自転車が吸い込まれていく。
隣テーブルで食事をしていた男女も、
食事を終えてお帰りになる。
見送ると、「またね」と手を振る2人の笑顔
2人の車が走り始めた後は
お店に戻ってディナー予約の用意を始める。
21:00
閉店作業をしながら一日を思い返す。
ホワイトデーのお返しギフトを購入しに
駆け込んで来た男性も多かった。
楽しいホワイトデーだったなあ。
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